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2025年2月27日

【ウクライナ3年】避難者が語る「今」「これから」
日本YMCA同盟 特別フォーラム

 軍事侵攻からまもなく3年となる2月22日、日本YMCA同盟は特別フォーラム「ウクライナ避難者が語る『いま』『これから』」を開催。日本で避難生活を送るウクライナ人と支援団体など約70人が新宿区の会場に集まり、避難生活の現状や課題について語り合いました。

報道関係者も多数来場。さまざまなメディアで報じられました

アンケート調査をもとに避難者の状況を語る 日本YMCA同盟の横山由利亜 

避難者のアンケートから

 

フォーラムに先立ちYMCAは1月、アンケート調査を実施。避難者176人から回答を得ました。それによれば、今後停戦・終戦した場合「すぐに帰国したい」と答えた人は6%と1割にも満たず、「しばらく状況を見る」が40%、「日本に残り、定住を試みる」が51.7%と、9割以上が日本に残りたいと回答。「また攻撃されるかもしれない」「東部はロシアに占領されたまま」など、安全や経済状況を心配する様子がうかがえました。

日本財団による3年間の生活費支援が終了した後の生活目途については、「ただちに生活困窮する」が30%、「住宅支援があれば生活可能」が60%と、9割の方が何等かの支援なしには暮らせないと答えています。

就労状況については、57%が就労しており、37%が求職中と回答。就労者の内7割はパートタイマーで、言葉の壁から職種が限られ、慣れない肉体労働で体調を崩すケースも見受けられます。もともと避難者の多くは、中学生以下の子どもがいる母子家庭、高齢者、単身で避難した学生など、持続した就労が困難な世帯が多いのが現状です。東京都による住宅支援が一年延長されたため、何とかやりくり可能な世帯もありますが、今後の支援の在り方については検討が必要な状況です。

避難者の声

参加した避難者たちが、自身の状況や日本社会への意見などを語りました。

●(30代)ウクライナではバスケットボールの選手でした。侵攻後、石川県のチームに入団させてもらいましたが、能登半島地震に遭い、契約はなくなりました。上京して仕事を探していますが見つからず、保育園にも入れずに8カ月が経ちました。それでも子どもにとってウクライナは安全とは思えないので、何とか日本で生計を立てていきたいです。

●(60代)私は毎日2~3時間、日本語を勉強していますが、覚えるのに時間がかかります。そのため買い物も通院も移動もなかなか大変です。働く機会もなく、社会から必要とされていないと感じてつらくなることもあります。日本語の問題、経済的な問題、この2つは大きな問題ですが、趣味の手芸をして気持ちを安定させています。日本の皆さまとの交流や支援には心から感謝しています。

●(20代)17歳の時に一人で日本に避難してきました。居酒屋のバイトなどをしましたが、高卒の資格がないと自立は難しいと考え、一年前に日本の高校に入学しました。慣れない日本語での勉強は大変ですが、日本の大学に進学して、大好きな科学を勉強して社会に貢献できるようになりたいです。生活費支援がなくなると今よりアルバイトを増やさねばならず、勉強との両立は難しいです。

●(40代)自閉症の息子と二人で避難してきました。日本での診断には時間がかかりましたが、4月から特別支援学校に入学が決まりました。日本の障がい者施策はウクライナより充実しているので感謝しています。私はフルタイムで働いていますが言葉の問題もあって安定はしていません。我が家だけでなく、学業と日本語学習と仕事の両立に悩む10代などには、引き続きサポートをお願いしたいです。

「日本社会が問われていること」

  第二部では、避難者の声を受けて、日本の支援団体や行政、学識経験者がパネルディスカッション。

「人手不足の日本では今後、”日本語が話せない人は単純作業しかできない”という見方を変え、海外での技能・資格取得者に門戸を開く方向を検討すべきではないか」「ウクライナ避難者を受け入れたことで、日本社会の難民施策は大きくステップアップしたと思う」など意見が交わされました。

停戦に向けた協議が日々報道されてはいるものの、すでに自宅が破壊されてしまった方や、家族を亡くした方など事情はさまざまで、帰国して安全な暮らしが再開できる状況ではありません。日本での財政支援が終了となる中、引き続き官民連携してサポートしていくことが確認されました。

YMCAは今後も東京都と共に戸別訪問や生活相談を行って、一人ひとりの声を聴き、支援を続けてまいります。
引き続きご理解ご協力をお願いします。

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