機関誌THE YMCA
THE YMCAは日本YMCA同盟が発行している機関誌です
![](https://www.ymcajapan.org/wp-content/uploads/2024/12/theYMCA_2025_1-2.jpg)
<最新号のオピニオン> 日本YMCA同盟総主事 田口 努
「Link! ~[私]、YMCA、世界、そして未来~」
第23回日本YMCA大会が11月15日から17日、YMCA東山荘で開催されました(=2-3面)。10人の若い実行委員たちが設定した大会テーマは「Link! ~[私]、YMCA、世界、そして未来~」。世界中のYMCAの共通目標である「Vision2030」をもとに、未来のYMCAを語り合い、世界のYMCAともつながりながら、自分に何ができるかを考える。まさに未来と世界に「Link(リンク)」する3日間を過ごしました。
「Vision2030」は4つの柱とされる目標、すなわち「1コミュニティー・ウェルビーイング」「2やりがいのある仕事と雇用環境の創造」「3持続可能な地球」「4公正な世界の実現」から成り、大会ではこれに沿って各YMCAの多彩な取り組みの発表や参加者によるブレーンストーミングなどが行われました。中でも、6月の進捗調査で日本の遅れが指摘された「持続可能な地球」の取り組みについては、外部講師を招き、学びの時をもちました。すでに異常気象が実感される中、気候変動は未来の子どもや若者にどのような影響をもたらすのか⸺䔃。市民が声を上げて政策を変えていく必要性や、一人ひとりの具体的な行動の重要性を説く発題 は心に響くものがあり、分科会ではさまざまな思いやアイデアが語られました。
今回の大会は半数が35歳以下のユース世代となり、ユースによる報告や発題が中心となったことも特筆すべきことでした。能登半島地震・豪雨災害の復興支援活動に参加した学生の発表や、10月にケニアで開催された世界YMCAのサミットに参加したユースたちによる報告。「気候変動かるた」や「人権かるた」の紹介、パワーシフトなど、さまざまな取り組みが共有されたほか、ウクライナのユースは、「誰一人に殺すことはできない」と良心的兵役拒否を続けるために単身で日本に避難し、生活費を稼ぎながら日本の高校に通う自らの境遇を語り、平和を訴えました。社会を変えていこうとするユースの思いが3日間で大きく成長していき、大 会にうねりをもたらしていった姿に、能登半島から輪島塗のチャリティー活動のために参加された柴田剛さんは閉会式で、「自分自身も大きな学びと刺激をもらった」とあいさつ。まさに、ユースがエンパワーメントされる姿にシニアがエンパワーメントされるような大会でした。
開会礼拝で佐久間健牧師(恵泉キリスト教会つくばグレースチャペル/茨城YMCA理事)は、YMCAの正章に刻まれている聖句「すべての人を一つにしてください」(ヨハネによる福音書17章21節)をもとに、人と人、そして神と人とをつないでいくYMCAの役割について語られました。神によって生かされている者としての「タテの軸」と、社会の中で人と助け合い、自然と調和しながら生きていくという「ヨコの軸」は、YMCAの創設時からの基本です。イエス・キリストの隣人愛と奉仕の精神をロールモデルとして、社会の中で具体的な実践をすること。一人ひとりが与えられた賜物を輝かす場となり、他者の賜物の輝きが自分の喜びとなるような アソシエーションであること。こうした運動を拡げ、世界と未来とにつながりながら、社会の課題に取り組んでいくのがYMCAです。20代でYMCAを創設したジョージ・ウィリアムズのように、ユースたちの思いが実践となり、社会を変えていくエネルギーとなっていくのだと思います。その積み重ねが、気候変動、戦争、貧困など、人類を脅かすような問題を解決し、明るい未来を築いていく力となるものと信じています。