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機関誌THE YMCA

THE YMCAは日本YMCA同盟が発行している機関誌です

特集:いじめのない世界を目指そう
-YMCAピンクシャツデー2020-

最新号のオピニオン

日本YMCA同盟からの提言

「隠し事の無い社会で平和に暮らしたい」

公益財団法人かながわ国際交流財団 専務理事
水田 秀子

 昨夏、東日本大震災による福島原発事故の放射能被害者のために、献身的な活動をしている市民団体や保育園などを訪ねました。そのとき福島市内のある教会 で、1 通の手紙を紹介されました。昨年11 月ローマ教皇が来日した際、東京の集会で避難者を代表してスピーチした16 歳の少年の、教皇にあてた手紙です。
 いわき市内の少年の自宅は避難区域ではなかったけれど、高い放射線汚染を避けるため、家族で自主避難したこと、転校先の小学校で理不尽な差別や、命の危険を感じるほどのいじめを受けたことが書かれていました。あまりのつらさに中学進学時、出自を隠すため遠く離れた学校を選び、しばらくは平穏な日々を取り戻しますが、自分の本当の気持ち、自分自身の一部である福島での生活を隠し通すことに耐えきれなくなり、心が粉々に壊れそうだという苦悩が切々と綴られています。
 「被害に遭ったものが、さらにいじめや差別を受けるのはなぜなのか。それは、原発が国策であり、被害者の証言は国策を否定するものとなるからです。原発政策を拡大していくために、被害を矮小化し実態を語らせまいとする為政者たちのゆがんだ政策やプロパガンダが、大人だけでなく僕たち子どもの世界まで狂わせているのです。」
 なんの罪もない子どもの心をこれほど苦しめ、悩ませていたことに私たちは思い至っていたでしょうか。未曽有の原発事故の被災者がすぐ近くに暮らしているのにそれに気付かず、過ぎ去った遠くの出来事と感じているのではないでしょうか。少年は手紙の最後をこう締めくくっています。「多分、僕の本当の望みは、ごく普通に隠し事の無い社会で平和に暮らしたいということだけなのだと思います。でも、原発事故被害者は、今の日本の社会の中で、何かに目をつぶり、耳を塞ぎ、口を閉ざさなければ安全に生きていけません。こんな歪んだ世界から、どうか、僕たちを助けてください。」
 過去を否定するものは現在の自己を否定し、未来の世界を狂わせるという少年からの見事な喝破を、私たち大人はしっかりと受け止めなければなりません。
 かながわ国際交流財団では、国境や人種、文化の違いをこえて、すべての人が差別のない社会で心豊かに暮らせるため、様々な事業を実施しています。グローバリゼーションの進展により、人と文化の交流が増す今日、他者に対する寛容さや共に生きることが今こそ求められているのではないでしょうか。
(横浜YMCA 常議員)

 「ピンクシャツデー」は、2007 年、カナダの学生2 人から始まったいじめ反対運動です。ある日、ピンクのポロシャツを着て登校した少年が「ホモセクシャルだ」といじめられました。それを聞いた先輩2 人が50 枚のピンクシャツを購入、インターネットで「明日、一緒に学校でピンクのシャツを着よう」と呼び掛けました。翌日学校では呼び掛けに賛同した数百名の生徒がピンクのシャツや小物を身に着けて登校。学校中がピンク色に染まり、いじめが自然となくなったそうです。
 YMCA はピンクシャツデーに取り組んでいます。いじめのない世界を目指して、全国のYMCA がアクションを起こします。



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