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機関誌THE YMCA

THE YMCAは日本YMCA同盟が発行している機関誌です

最新号のオピニオン

ここは 自分を出していいところ ~不登校、楽しんだっていいんじゃない?

   アメリカから来た知人に「アメリカには不登校ってないなあ」と言われたことがあります。アメリカではカトリック系のミッションスクールに行く子もいれば、イスラム系の子どもが通う学校、市民が作ったオルタナティブな学校、またフリースクールやホームスクーリングという学び方もあり、たくさんの選択肢の中から自由に自分に最適な学び方を選べる環境があるそうです。そのため、不登校ということを聞いたことがないということでした。
 多様性の時代に、日本は教育の多様性が一番遅れているのではないかと思います。文部科学省が2021年10月に発表した調査によると、小・中学校における不登校の児童生徒数は19万6,127人と過去最多であり、これはずっと増加し続けているのです。
 5年前に教育機会確保法という法律ができて、文部科学省は「今や学びは学校だけではない。多様な学びが必要である」と示しています。つまり、不登校の子どもを学校に戻さなくていい、いろんな学びがあっていいと言い出したのです。これに現場の学校は大変に慌てました。今までは、子どもを学校にとにかく戻すことが仕事だったので、何をしてよいかわからないという状態でもあるようです。今まさに、フリースクールの立場からいえば、教育の世界にある意味で、新しい学びが始まることになったと言えると思います。
 分散登校やリモート授業が続いているこの時期に、学校をフリースクール化してはどうか、学校の中にフリースクールを作ってはどうかと提案したいです。フリースクールは子どもが中心です。私は1990年にフリースクールを始めて32年になります。学校へ通えなくなった子どもの居場所をなんとか作りたいから、私の塾を朝から解放してくれないかという保護者からの要望が、フリースクールとの関わりの始まりでした。塾の時間以外は、保護者を含めたご近所の方々に鍵の管理をお願いすることからスタートしました。地域のみなさんのつながりが、子どもたちが安心して過ごせる居場所を作ったのです。フリースクールでさまざまな経験をしました。子どもの力をみくびってはいけません。どれくらい子どもの力を信じていますか? 自由に発言する時間は子どもたちにありますか? 子どもたちが決めて、子どもたちが行動する。それを見守る余裕が今の学校にありますか?
 授業についていけなくて、あるいは興味がなくて、ずっと寝たふりをして机に頭をくっつけている子どもが全国に、何人いるでしょうか。そういう思いをしている子どもたちを、学校から解放してあげてほしいのです。うつぶせになっている時間も、本来ならその子にとって輝いていい時間なんです。そのために、学校だけではない多様な学びに移行させたいのです。学校で一律、均一な行動に押し込めるのではなく、自分で考え、行動すること、それを見守る地域とともに、僕はこれからも子どもたちとともに関わっていきたいと思っています。      (神戸フリースクール代表 田辺 克之)   



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