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機関誌THE YMCA

THE YMCAは日本YMCA同盟が発行している機関誌です

 

<OPINION>水難事故から命を守る
~YMCAウォーターセーフティーキャンペーン

 

全国YMCAアクアティック事業部

 

まもなく夏。水遊びが楽しい季節を前に、YMCAは今年も「ウォーターセーフティーキャンペーン」(主催:全国YMCAアクアティック事業部[部長 澤村奈緒])を実施します。6月~9月まで3カ月間、全国で着衣泳体験会などを開催するほか、安全知識をまとめたハンドブックを配布し、水難事故の防止に努めてまいります。

海、川、湖など水辺の事故による犠牲者は、世界で年に30万人を越え、その半数は25歳以下です。低所得国に多く、東南アジアでは5歳~14歳の死因の第1位となっています。WHO(世界保健機関)もこれを大きな問題だとして、2021年から毎年7月25日を「 世界溺水予防デー」と定め、予防可能であるはずの事故を防ごうと呼びかけています。日本での事故は、50年前に比べ4分の1ほどに減ったものの、2024年度は約800人が水遊びや、魚採り、釣り、水泳中の事故などで亡くなっています。(警視庁生活安全局)

YMCAは1917年(大正6年)、日本初の室内温水プールを作ってクロールなど近代泳法を普及すると同時に、救助法や安全教育も開発・推進してきました。「全国YMCAウォーターセーフティーキャンペーン」は1981年から45年にわたって毎年行っており、昨年度は全国約120の小学校等でおよそ2万人が着衣泳等を体験したほか、指導者の養成、救助法の講習には1万人が参加。ハンドブックも10万部配布するなど、地域における安全知識の周知に努めています。日ごろの水泳教室でも、速く泳ぐ技術だけでなく、「顔をあげたまま泳ぐ」など水から身を守る術も教えています。

アメリカなど海外のYMCAもまた水上安全教育に力を入れており、大阪YMCAは、ビクトリア(オーストラリア)やソウルYMCAなどと構成している「アジア太平洋都市YMCAネットワーク(YAPUN)」内にタスクチームを設置。ノウハウの共有や、東南アジアでの講習会実施のほか、「世界溺水防止会議」にも参加し、グローバルな取り組みを展開しています。2019年から3回にわたってカンボジアに行き、各国のスタッフと一緒に安全講習会を実施した山口ひかるさん(大阪YMCA)に話を聴きました。


■「AQUA WATCH ASIA」~カンボジアでの取り組み(大阪YMCA 山口ひかる) ■

カンボジアは水難事故が最も多い国の一つで、年間2,200人、1日に6人もの命が失われています。飲料水など日々の生活用水として川や池を使う上、内戦が続いた影響でインフラ整備が遅れ、水辺にはフェンスも標識もありません。また悲しいことに、ポル・ポト政権下で起きた知識者層の大量虐殺のため、いまだに教育・医療体制が整わず、安全知識が普及されていない現状もあります。さらに近年は気候変動で雨量が増え、水はけの悪い土地には池ができやすくなっています。

カンボジアで私たちはまず、現地の学生ボランティア20人に指導者養成の講習を行い、その後5日間、彼らに指導補助と通訳をお願いし、スラム街の子どもたち約100人に講習を行いました。学生も子どもも水泳経験が全くないので、顔を水につける練習から始め、潜ること、浮かぶこと、そして5m泳ぐことを目標に指導しました。また、溺れた人を見つけたときの対応や、水辺の危険、予防法についても伝えました。

2020年以降はコロナ禍で中止となりましたが、私たちは募金を集めて2024年から再開。今年は東京YMCAの職員も参加しました。今後も「知っていれば、防げた死」をなくすため、正しい知識の普及に努めていきたいと思っています。                                      (まとめ・編集部)

⇒YMCAウォーターセーフティーキャンペーンの特設サイトはこちら


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