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【ウクライナ侵攻2年】避難者の6割が「将来に不安」

 軍事侵攻から2年となる2月23日、日本YMCA同盟は「特別フォーラム ウクライナ避難者が語る『いま』『これから』」を開催。日本で避難生活を送っているウクライナ人と支援団体など約60人が新宿区の会場に集まり、長期化する避難生活の現状と課題を語り合いました。

●避難者をめぐる概況

  YMCAが1月に実施した避難者のアンケート(153人回答)によれば、日本での生活については7割以上が「満足」と答えた一方で、「将来への不安を感じる」も6割を越え、政府等による支援が打ち切られた後の住宅や、仕事、教育を心配する声が寄せられました。

 戦争が終わったとしても、「自宅も街も破壊されてしまった」「ロシアはまた攻撃するかもしれない」などの理由から、帰国をためらう声も9割にのぼり、避難生活の長期化が予測されます。今も毎月新たに20人ほどが避難してきていますが、単身で避難してくる10代や戦争で負傷した方など、支援を要する方が多い状況です。

 しかしながら日本財団による経済的支援は3年で終了。新規申請もすでに受付終了となっています。日本での生活をどうやって軌道に乗せていけるか。課題は尽きません。

避難者の声

 ウクライナでの弁護士資格を持ち、都内の法律事務所で働きながら避難者の相談に応じているイリーナさんは、就労についての相談が多く寄せられている状況を伝えました。イリーナさん自身、IT技術や就労の知識を学ぶ研修を自ら企画して避難者の就労支援をしていますが、こうした研修は他の外国人や日本人にも役立つとし、「誰もが働きやすい環境づくりを目指すことで日本に恩返ししたい」と抱負を語りました。

フロアからも4人の避難者が登壇。思いを語りました。

●「知人もいない日本に来て2年。YMCAの紹介で日本語を学び、今は自動車部品の会社に勤めています。日本の支援に感謝しています」(30代)

●「ウクライナでは医者をしていましたが、資格制度の違いから日本では他の仕事をしています。原発のあるザポリージャ出身のため、帰国はできません。」(40代)

●「ウクライナのオンライン授業と、日本語教室と、日本の学校の3つに通って忙しい。日本の高校受験は難しく、もう一年、中学生をすることにしました」(10代)

●「徴兵前の17歳の時に一人で避難してきました。日本語は難しいけど勉強して日本の大学に進学したい。何より友だちがほしい」(10代)

 避難者の声を受けて行われたパネルディスカッション「私たち日本社会が問われていること」では、行政、NPO、学識経験者からさまざまな課題や意見が出されました。

昨年12月に「補完的保護」制度が適用され、ウクライナ避難者は難民に準じた保護を申請できるようになりましたが、もともと日本の難民施策は十分とはいえず、アフガンなど難民の多くは安定した生活ができていない状況です。 「ウクライナの方々が長期的に安定して暮らせる体制を築くことで、他の外国ルーツの方にとっても住みやすい多文化共生社会を目指すべき」との意見が交わされ、引き続き官民連携して支援をしていくことが確認されました。




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