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「日中韓YMCA平和フォーラム」上海で開催しました

 日本、中国、韓国のYMCAが2月1日~4日、中国・上海で「第9回 日中韓YMCA平和フォーラム」を開催。総勢約80人が集い、日本からはユース10人を含む19人が参加しました。

 このフォーラムは2004年から約2年おきに開催しているもので、主催は「日本YMCA同盟」「中国YMCA全国協会」「韓国YMCA全国連盟」。2021年はオンライン開催だったため、今回は2017年12月に韓国・光州で行われた第7回以来、およそ6年ぶりの対面での開催となりました。3カ国の仲間たちは再び集えた喜びをかみしめながら、上海市内のフィールドトリップを通して歴史を学び、平和実現のために今私たちに何ができるのかについて対話を重ね、考えを深め合いました。

  

開会セッションでは、各国の会長や理事による平和のメッセージの分かち合いに続き、復旦大学の胡令遠教授から「共に平和の船を漕ぐ ― 変化の世紀におけるユースの使命、責任、そしてその道筋」と題した主題講演があり、日中関係史を中心とした日中韓3カ国交流の歴史を振り返りながら、今後の東アジアにおける平和構築のために求められる青年の文化交流への期待が語られました。

 上海は、現在では中国最大の都市ですが、かつては欧米帝国主義列強が支配する外国人居住区「租界」が街の中心に存在していました。

 初日のフィールドトリップでは1945年まで日本人が多く居住していた租界である虹口(ホンコウ)地区を訪ねました。まず、近代中国を代表する作家であり、日本とも縁が深かった魯迅の記念館、墓地、旧居を訪ね、続いて魯迅と深く親交し、YMCA会員でもあった日本人キリスト者の内山完造が経営した内山書店の跡を訪ねました。さらに虹口では、1920~40年代における中国YMCAの指導者であり、中華人民共和国建国後には中国のキリスト教界を代表する人物となった呉耀宗に関する展示施設(かつての中国YMCA職員の寄宿舎跡)も見学しました。

また上海は、朝鮮が日本により植民地統治されていた当時、朝鮮人独立運動家が集い、独立運動を展開した場所でもありました。2日目のフィールドトリップでは、独立運動の根拠地であった大韓民国臨時政府跡を見学しました。  現代的な高層建築が立ち並ぶ中に、今でもそのまま残される当時の建築の中に設置された各施設の展示を見ながら、上海の歴史を学び、またこの街で交錯した3ヶ国の人々の生き様に思いをめぐらせました。

シニアの参加者たちは、各国YMCA間の連絡委員会も行い、コロナ禍以降の相互交流の再開などを検討。その間ユースたちは、平和を実現するために今何ができるのか、グループ別の話し合いを行い、最終日には具体的なアクションプランを作成して発表しました。

 たいへん短く感じられたあっという間の3泊4日でしたが、毎日の自由時間には、シニアたちは大いに語り合い、ユースたちは上海市内の名所を回り、大いに友情を深めることができました。

ウクライナ、パレスチナでの戦火が止まず、東アジアでもきな臭い報道が増える中で今回のフォーラムは開催されました。政治社会体制の違いによる3カ国共催の難しさを感じさせられる場面もありましたが、様々な対立が深まる今のようなときこそ、私たちは対話を重ね、交流を通して友情を深め、この地域での平和を構築していかなければならないということをあらためて確認しました。

 日本のYMCAは基本原則の中で「私たちは、アジア・太平洋地域の人びとへの歴史的責任を認識しつつ、世界の人びとと共に平和の実現に努めます」と謳っています。3カ国YMCAが共に歴史を学びながら平和の実現に向けて真摯に交流し語り合うこの平和フォーラムを、これからも継続して開催し、そこで確認したことを実行しながら、東アジアそして世界の平和の実現のために一層努力していきたいと思います。  次回、第10回のフォーラムは2年後に韓国で開催されます。 (報告:田附和久)