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【共同通信、京都新聞など六紙に掲載】
ウクライナ避難民 ~能力生かせる仕事に就けず

  

共同通信社から10月18日に配信された下記記事が、「京都新聞」や「静岡新聞」「河北新報」など6紙に掲載されました。
この記事は、日本における難民の実態を全8回シリーズで追った『隣の難民』の第7話で、YMCAウクライナ避難者支援プロジェクト責任者・横山由利亜による情報や写真が掲載されています。

今年6月の入管法改正により、ウクライナ避難者には12月から「補完的保護」制度が適用され、難民に準じた保護が受けられるようになりました。が、半年間の日本語教育等だけで安定した職に就くのは難しく、まだまだ支援が欠かせません――。日ごろ避難者のニーズ調査にあたっている横山の思いもつづられています。ぜひご一読ください。


<掲載紙より> 能力生かせる仕事に就けず/子どもは三つの学校へ/ウクライナ避難民

近所にロシアのミサイルが落ちた。地震のように家が揺れる。ウクライナ東部ザポロジエに住んでいたオレーシャ・ボイツォワ(43)は、夫と娘と共に隣国ポーランドに脱出した。
「でも、避難民が多すぎた。日本も受け入れていると知人に聞いて」。昨年7月に来日し、東京都営住宅で暮らす。家賃や光熱費は都が賄い、月約17万円の生活費が政府から支給される。

「支援にはとても感謝している。ただ、夫は障害があり、私が仕事をしないと生活は厳しい」。子ども向けの英語講師を務めた後、都の職業訓練プログラムに半年間参加し、職を探している。

母国では麻酔医として活躍していた。しかし、日本の医師免許がないため、同じ仕事には就けない。せめて医療に関係する職場で働きたいと考えているものの、見通しは立たない。
「医師や弁護士、教師など、ウクライナ避難民には専門性を持つ人が多いが、国家資格や言語が壁になって、能力を生かせない」。オレーシャらを支援する日本YMCA同盟の横山由利亜は指摘。政府や自治体の支援が終了した場合、自立できる避難民は1、2割ではないかと懸念する。

娘のアナスタシア(15)は都立中と日本語学校に通い、ウクライナの中学校の通信教育も受けている。「すごく大変だけど、頑張る。今ウクライナに帰ったら、もっと大変な生活になるから」。大好きなアニメや漫画のフィギュアを並べた部屋で、つぶやいた。
ロシアとの戦いは終わりが見えない。「終わったとしても、自宅が残っているかも分からない。将来の計画を立てられないのが、一番のストレスだ」とオレーシャ。

日本政府はウクライナ避難民に対し、他国出身の難民や避難民に比べ格段に手厚い支援を行ってきた。首相の岸田文雄(きしだ・ふみお)は「国際秩序の根幹を揺るがすロシアの侵略を踏まえた緊急措置で、それ以外の方々への対応とは一概に比較できない」と弁明する。

6月の入管難民法改正で、条約上の難民に該当しない戦争避難民らを、難民に準じて保護する「補完的保護」制度が新設された。政府は、ウクライナ避難民は補完的保護対象者になると明言しており、より安定的な在留資格が付与され、生活保護の受給も可能になる。

横山は「日本でゼロから生活を始めるのだから、どれだけ支援しても、やり過ぎることはない」と言い切る。「ウクライナを前例として、外国から来た人への支援を広げていきたい」

◆2500人以上が来日
2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻すると、日本政府はウクライナ避難民の受け入れを表明。飛行機を手配し、一時滞在施設を提供するほか、自治体や企業とも連携し厚遇している。これまでに2500人以上が来日し、400人余りは帰国するか第三国へ移った。
(敬称略、共同通信編集委員・原真)



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