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世界YMCA/YWCA合同祈祷週
2017.11.12~18

世界YMCA・YWCAでは、毎年11月第2週目の日曜日からの一週間を合同祈祷週として、一つのテーマのもとに、聖書からメッセージを聴き、祈りを共にする機会を持っています。今年は11月12日から18日までの一週間「立ち上がり、思い切って言いなさい~抑圧や、差別におかれた人びとの声を」というテーマのもとで祈りを合わせました。
私たちが日々生活を送るなか、世界には人権や尊厳が否定されるような生活を強いられている人たちもいます。そんな人びとのために、希望を持って声をあげ、変革をすすめなければなりません。私たちYMCAそしてYWCAは、その「声をあげる」役割を担っているのだと、改めて考える一週間となりました。
合同祈祷週のテキストとして、毎年冊子を発行しています。そのなかのYMCA・YWCAの両会長が寄せたメッセージを紹介します。

世界YMCA/YWCA合同祈祷週【冊子】

立ち上がり、思い切って言いなさい~抑圧や、差別におかれた人びとの声を

現在の苦しみは、将来わたしたちに現されるはずの栄光に比べると、取るに足りないとわたしは思います。被造物は、神の子たちの現れるのを切に待ち望んでいます。被造物は虚無に服していますが、それは、自分の意志によるものではなく、服従させた方の意志によるものであり、同時に希望も持っています。つまり、被造物も、いつか滅びへの隷属から解放されて、神の子供たちの栄光に輝く自由にあずかれるからです。(ローマの信徒への手紙 8章18-21節)



YMCA・YWCA両会長のメッセージ 「社会主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった。私は社会主義者ではなかったから。彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった。私は労働組合員ではなかったから。そのあと、彼らはユダヤ人を連行した。それでも私は意見を言わなかった。私はユダヤ人ではなかったから。そして、彼らが私を攻撃したとき、私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった。」

これは、マルティン・ニーメラー牧師(1892‐1984)の言葉です。彼は、公然とアドルフ=ヒトラーを非難して、ナチス政権が崩壊するまでの7年間、強制収容所に収容されていました。この言葉を読むと、私たちの周りに不正と抑圧がある時に、声をあげないことの危険性を思わずにはいられません。正義を求めることはキリスト者の務めで、選択の問題ではありません。ツツ大司教がかつて言った言葉があります。「正義がない時、中立な態度をとれば、それは圧制者側に立つことを選んだことになる。」

私たちは、人種主義やナショナリズム、制度的な排除により、何百万という人びとの人権や尊厳が否定されている世界に生きています。世界のリーダーの中には、他者を排除することを選び、その支配的な地位を守るために、策略として恐怖や憎しみを煽る者もいます。そのような場合、弱い立場にある人びと、他者と異なっている人びと、権力を持たない人びとは、簡単に追いやられてしまいます。これは、特に世界にいる18億人の若者(ちなみに今日、若者の数は歴史上最も多くなっています)に実際に起きていることです。しかし、政治家が未来に関わるさまざまな決定をする際に、この若者たちの意見はほとんど聞かれていません。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは、「人類の進歩は自動的に起きるのでも、また必ず起きるわけでもない。正義という目標に向かうあらゆるステップには、犠牲、苦しみ、争いがつきものであり、献身的な人びとの不断の努力と熱意が必要なのである。」と主張しています。

私たちは希望を持つことができるでしょうか。根拠を持って、「はい」と言えるでしょう。なぜなら、社会が変革するのを目撃してきたからです。最も不正や抑圧を受けている集団が、変革を求めて運動を組織し、創造するのを目にしてきました。不正に満ちた恐ろしい状況を、リーダーたちが平和と正義の場に変革してきた歴史から、私たちは何を学ぶことができるでしょう。政治的駆け引きが過激さを増すだけのように見える社会的不平等な時代において、私たちはどのように神様が示してくださる道を辿っていくことができるのでしょうか。

希望は抽象的な概念ではありません。それは、新しい始まりのビジョンを持ちながら、最初は小さくても、同じように世界を変革したいと思う人びとを大きな規模で動かす一因として、不公正な現実を徐々に変えていくための行動方法や手段をつくっていくことなのです。

単に自分の国や地域だけでなく、地球規模で、今日の世界に目を向けてみましょう。今これまで以上に、私たちは、ある街や地域で起きたことがすべての人びとに影響を及ぼすような、相互に繋がった世界に生きています。どうやって私たちは世界を変革し、勇気と強い信念をもって、不正に立ち向かう声をあげていくことができるでしょうか。どうやって私たちは、変革をもたらすために必要な人びとの力を引き出し、動員することができるでしょうか。

今私たちは、人間性にかかわる問題に対して十分声をあげているでしょうか。他者を置き去りにするような不正に対して、すべてのレベルで大胆に声をあげているでしょうか。

預言者イザヤの言葉を確認しましょう。
「呼びかける声がある。主のために、荒れ野に道を備え わたしたちの神のために、荒れ地に広い道を通せ。」(イザヤ書40章3節)

世界中でYWCAとYMCAは、160年以上も活動を続けてきました。これまでにも南アフリカのアパルトヘイト政策や、第2次世界大戦後にヨーロッパで問題となった難民危機、アメリカ合衆国での公民権運動、ベルリンの壁崩壊後に東欧諸国で起きた市民社会の再建運動など、多くの状況下で先頭に立ち、社会変革を進めてきました。世界中、多くの地域社会に存在し、青年・女性・信仰が交差する点に立脚しているため、私たちYMCA/YWCAは他に例を見ないような形で立ち上がり、声をあげ、変革を促進するのです。だからこそ、私たちは、社会的・政治的に不確実な時代にあっても、皆さんに神様に従い声をあげ続けるよう求めます。

この合同祈祷週の期間中、個人として、そして共同体として声をあげることを勧めます。この社会的・政治的に不確実な時代に、はっきりと、明確にメッセージを述べ、不正やいかなる抑圧に対しても反対の声をあげ、そして励まし、癒し、また人権と尊厳を回復させ、最も遠く離れたコミュニティーにいる、最も被害に陥りやすい子ども達をエンパワーするために声をあげ、立ち上がるよう、皆さんにお願いします。

この冊子が、あなたが想いを巡らす時に役に立ち、そしてこの合同祈祷週が充実した時となるように祈りつつ。

世界YWCA会長
デボラ・トーマス=オースティン

世界YMCA同盟会長
ピーター・ポスナー



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