代表からのメッセージ
「隣人を自分のように愛しなさい。」
(マタイによる福音書 22章39節)
世界中で戦争や紛争など対立が激化し、民主的な世界が試練にさらされています。日本においても孤立や格差が深まり、他者への敵視や憎悪が増幅しています。分断や格差、排他的な風潮は、社会のつながりをむしばみ、最も弱い立場にある人びとの希望を奪っています。
頼るべき絆を失い孤独に悩む子どもたち、経済的困難に直面するひとり親家庭、そして戦火や災害を逃れた避難民や、私たちの暮らしを支えながらも「境界線」の外側に置かれがちな外国籍の方々などが深刻な影響をうけています。また急速なデジタル化やAIの普及は便利さをもたらす一方、人間をデータとして扱い、人の尊厳を希薄化させるリスクも孕んでいます。このような時代の中で、YMCAの土台となる「隣人を自分のように愛しなさい。」という聖句を実践し、血縁や地縁を越え、一人の人間の尊厳を等しく守り抜くことを目指していきたいと思います。
さらに、誰もが自分らしく、他者や自然と調和して生きられる「ポジティブネットのある豊かな社会」を目指していきます。 希望は、孤立しては抱けず、人びとが共有し語り合うことで初めて「現実」となり得ます。
ひとりが「よくなる」と、その笑顔に出会った誰かがうれしくなり、
また次のひとりが「よくなる」。
人の善意や前向きな気持ちの連鎖こそが、社会の歪みを修復し、平和を形にする確かな原動力となります。いじめ、貧困、環境破壊、そして分断。目の前にあるこれらの歪みを一つひとつ修復していく私たちの歩みは、小さな種まきのようかもしれませんが、各地で確実に芽吹き、希望を形にしていくと信じています。
2026年度も世界のYMCAと共に「世界YMCA Vision2030⇒」を推進し、自分たちの心の中にある見えない壁を取り払い、意見や立場の違いを尊重し、対話を通じてつながりを見出すこと。一人ひとりが自分自身と、社会と、そして地球環境と調和して生きられる世界を目指します。また、全国の加盟YMCAの活動を根底から支える努力をすすめ、分断に抗い、希望を分かち合い、 目の前の一人と誠実に向き合うその一歩が、世界をよりよく変えていくよう歩み続けていきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
日本YMCA同盟会長
山本 俊正(やまもと としまさ)
日本YMCA同盟総主事
太田 直宏(おおた ただひろ)