広島YMCA International Youth Peace Seminar
国内外から50人 平和を語り合う
8月5日~9日、インド、中国、台湾、韓国など国内外のYMCAから約50人が広島に集い、被爆者証言や原爆資料館の見学を通して核兵器の脅威を学びました。このセミナーは1978年に始まったもので、戦後80年の今年も8月6日の平和記念式典に参列し、共に祈りを捧げました。

今年のテーマは、「Pixlated Wa!(ピクセラレーテッド ワ)」。
小さな四角(ピクセル)の中に色や形を描き、それを集めて一枚の絵にする「ピクセルアート」にヒントを得たもので、ピクセルの数を増やして、「絵」の輪郭や全体像を明確にしようというもの。一人ひとりの知識や経験を持ち寄り、驚くような発見が生まれる時間にしたいと、セミナーを企画運営する「広島YMCA国際ユースリーダー」たちが考えました。
ユースリーダーの一人、浅野さん曰く「原爆は恐ろしすぎて、私たちにとってはどこか別世界のような、受け止めきれないものがあります。それを何とか消化して自分の行動に活かせるように、戦争の悲惨さを学ぶだけでなく、それを自分の行動につなげていくセミナーにしたいと考えて準備しました。」
リーダーたちは、テーマの最後の「WA」に、「輪、話、笑、環、和、私」と、びっくりの「わっ!」の7つの願いをこめ、資料館や慰霊碑などを見学した後の2日間で、いくつかのワークショップを企画しました。

原爆資料館の見学

日本被団協の箕牧智之さんの被爆証言
1つ目のワークショップは「Mother’s Lullaby(マザーズララバイ)」というオリジナルワークショップ。広島の「物」の視点から原爆を考えてみるもので、たとえば原爆ドームは、戦前どんな施設でどん な日常があったのか、被爆した瞬間は何を見たのか。そんな風景をドームになりきって思い描いてみるワークです。中学校の英語の教科書にあった、被爆樹木を主人公にした話をもとにリーダーたちが考案したワークで、 参加者は、原爆ドームのほか「平和公園」「被爆あおぎり」「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」から1つを選んで話し合っていきました。

ワークショップの様子

被爆証言を聴く参加者たち
ほかに「Mytopia(マイトピア)」という、理想の国を作るワークもしました。
参加者はスマホの翻訳機能などを駆使しながらたくさん語り合い、「みんなの輪ができあがってきて、セミナー自体が小さな平和な社会になっていったのは嬉しいことでした」と浅野さん。
参加者からは「初めて原爆を“自分事”として感じることができた」という声も寄せられました。
いくつか感想をご紹介します。
参加者の感想より
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私たちが今当たり前のように享受している平和は、80年前には人々が切実に願っていたものでした。今回のセミナーを通して、平和に対するさまざまな考え方を理解し、戦争が人々に与える大きな傷を実感しました。
The peace we enjoy today feels so ordinary,but 80 years ago, people longed deeply for world peace. Through this seminar, I came to understand the different perspectives everyone has on peace, and how greatly war harms people.(台湾YMCA 学生) -
被爆者証言でお話された日本被団協の箕牧さんが、「日本も戦争の加害者である」と仰っしゃったことに驚きました。たしかに真珠湾攻撃は国際法に違反するものでした。単なる歴史事実としてそれを述べるのはあまり難しくないかもしれません。しかし、それをヒバクシャとして発言するのにどれだけの時間と思考と対話を要したのか考えると、きっと私たちには計り知れない想いを抱えてこられたのだろうと思いました。多角的な視点で考える。今、すごく必要とされているスキルです。物事を解決するのには重要なことです。(広島YMCA 学生)
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私は平和についてどこか大きく考えていました。(それも間違いではありませんが)、今回のピースセミナーでは、個人的に平和をどのように体現していくのかという方法を学ぶことができたと思います。それは友だちを一人でも多くつくることでした。言語が違っても、生きてきた背景が違っても、どこかに繋がる瞬間があると感じました。「会えてよかった」と言ってもらえたこともとても嬉しかったです。この一期一会の出会いに感謝して、またどこかで出会えることを楽しみにしています。(広島YMCA リーダー)