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富士山頂のちょうど真ん中に日が沈み(または昇り)光り輝く現象が20年程前から"ダイヤモンド富士"と呼ばれるようになり、近年広く知られるようになりました。特に有名な撮影ポイントは富士山西部・田貫湖からの"昇るダイヤモンド"と、北東部・山中湖からの"沈むダイヤモンド"です。写真は2月9日山中湖北岸からの光景です。この時も湖畔には多くの写真愛好家がすき間なくズラリと三脚を並べ、それぞれのベストポジションを"死守"してその時を待っていました。やがて日が右にスライドしながら高度を下げついに山頂の一角に接したと見るや、一斉にカメラのシャッター音が沸き上がり、それから山頂のちょうど真ん中に最後は星のように小さな光を残して完全に沈むまでの約2分50秒、人々は黙々とシャッターを押し続けます。その一人一人の横顔は真剣そのもので、気持ちを研ぎ澄まし、全身全霊をもって富士山と対峙しているような眼差しです。これは写真撮影というよりも、むしろ"祈り"に近いと感じました。すなわちそれぞれの人の心にある富士山への"祈り"なのではないかと。富士山ではこれ以外にも様々なシーンでこの"祈りの眼差し"に出会います。その度に富士山にはやはり何かがある、と思うのです。
写真・文 プログラム主任 白鳥裕之